制作について

 

2008年より、オリジナルテキスタイルで作る洋服とバッグのブランド、
「YURTAO(ユルタオ)」の活動を開始しました。
今は秋頃に、東京、京都、鎌倉、福岡の4カ所で洋服の受注展示会を年1度のペースで開催しています。その他に春頃、バッグやポーチなど布コモノを中心に「旅するコモノ展」不定期で開催しています。

 

YURTAOは、まず、布を作るところから始まります。
綿にするか、麻にするか、絹にするか。素材が混ざったものにするか。
素材と織り方、風合いや色を考え想像します。
ここ最近は機屋さんに1から生地を織ってもらう事も増えたので、糸選びから始まる事も多いです。
どんな素材の糸を使おうか、染めた糸で織るのか、織った生地を染めるのか。
絵を描いて製版しシルクスクリーンプリントで柄を入れたり、刺繍屋さんに頼んでデザインした刺繍を入れてもらっています。
そうしてたくさんの選択と想いを重ねた上に布が完成します。
出来たテキスタイルを眺めて心躍る時間は、とても幸せな瞬間です。

布というのは人にとって、すごく身近で機能的で便利でかつ美しいものです。
毎日身に纏う洋服は、自分を守り、自分を発信し、心を彩り、特別な気分にもさせてくれる道具です。
たくさんの想いを込めて作ったオリジナルテキスタイルで日常を鮮やかに彩る事ができる洋服を作りたいと思っています。
YURTAOを始めてあっとゆうまに8年が経ち、とてものんびりペースで人知れずと言ってもいいくらいささやかな活動ではありますが、今後も自分の作りたいものを信じて、たくさんの方に作ったものを届けていきたいと思います。

 

私は旅がとても好きで、異国の乗り物に乗り、その国の人達に紛れて移動するだけで普段抑えている冒険心がむくむくと燃え上がるのですが、もうひとつの大きな目的として、その土地の民族と彼らが作る布があります。
二十歳の時に訪れた中国奥地の少数民族の村々を始めとし、二十代はまだ見ぬ美しい布に心ときめかせながら世界中のあちこちに飛んで行きました。
目に焼き付けてきた数多くの布は、その土地の自然環境、歴史、民族、技法が凝縮されたひとつの世界でした。
土地の数だけ民族がいて布が存在するように、多様性は計り知れません。
と同時に、世界中の様々な布を含めた民芸品を見ることは、人の創造は、自然から得たものを表現しようとしたところから全て始まったんだという事を強く実感するきっかけとなりました。
その、地域やあらゆるジャンルを飛び越えた人間の創造の本能の力強さと、とてつもない普遍性に感動しました。
柄を描く時、どうかそんな力強いものを、わずかでもいいから表せないかと祈りにも似た思いで描きます。
この思いはYURTAOを始めてからずっと私の中の大きなテーマなのです。

 

そして、布をデザインするにあたって、もうひとつの重要な要素である色は、
柄と同時にイメージする時もありますが、時には柄よりも早く、最も直感的に決まる事もあります。
テキスタイルデザインと出会う以前から、手で何かを作る事が好きで、これから作ろうとしている物はどんな色をしているのか頭の中で無意識とも言えるような状態で思い浮かべる時間が最も楽しく自由な時間でした。
そして大学入学と同時にテキスタイルデザインに出会い、布の質感や技法等、様々な状況のなかでは同じ色でも全く異なって見えるといったような奥深い色の世界はますます面白くなるばかりです。
私的な根拠のない瞬間的な色への欲求を満たす事はもうひとつのYURTAOのテーマでもあります。

 

テキスタイルデザインに出会って15年。
表現したいものが少しずつですがやっと言葉にできる程度には意識できてきました。
その思いを胸に、今後もどうにか布と関わり続けていきたいと思います。
そして、自分の作る物を通して楽しく、人と社会と繋がっていきたいと思います。
長くなりましたし、まだまだ言葉にし足りない部分もありますが、YURTAOの商品を手に取ってくださったり、あたたかく応援してくださる皆様。また今後出会うであろうまだ見ぬ誰か。どうぞ、YURTAOをよろしくお願いします。

 

 

 

旅について

 

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二十歳の頃、初めて訪れた中国雲南省で、いまも鮮やかな民族衣装を日常着にする少数民族が世界にはたくさん住んでいる事を知りとても興奮しました。
特にお年寄りの着ている物は手作りで深みがあり格好良かったです。
村が変わると衣装の様子が変わり、熱に浮かされたように小さな村のバザールを巡りました。この写真はバザールで民族衣装に使うリボンを売っていたハニ族のおばあちゃんです

 

 

 

 

 

 

 

 

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ヒマラヤ圏に は何度も訪れました。荒涼とした高地。厳しい気候の中での独自の宗教、文化を持つ国チベットは、無性に惹かれ、最も焦がれる場所です。
衝撃的な程おしゃれな着こなしをしているチベット人をたくさん見かけましたが、むやみにカメラを向けられるわけでもなく、手元に在る人物写真の枚数は多くありません。
これは珍しく撮影を快諾してくれた親子。

 

 

 

 

 

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昔から遊牧民という響きに
大いなる憧れをもっていました。

このタジキスタンで荒野のぽつんと佇むユルトはそんな私の憧れが具現化して目の前に現れたような完璧なユルトでした。街道を行くトラックドライバーの休憩所となっており、様々な織物で彩られた中でチャイと魚のフライが食べられます。

 

 

 

 

 

エクアドル

アンデスに沿って旅をしました。
エクアドル、日曜日に開催される動物マーケットにて。
インディへナのショールやポンチョの色が青い空に映えとても綺麗でした。

 

 

 

 

 

 

 

木下桃子 KINOSHITA MOMOKO

1982年 神戸生まれ

2002年
多摩美術大学生産デザイン学科テキスタイルコース入学。
4年間通して織り、染め、プリントデザイン等を学ぶ。

2006年
在学中より映画や広告の現場で衣装助手として働く傍ら、
コンテンポラリーダンスや映像作品の衣装を制作。

2008年
手捺染を中心にオリジナルテキスタイルを使ったウエアブランド
「YURTAO(ユルタオ)」を始める。
年に数回、受注展示会を企画。

 

 

作業風景について

 

柄を考えています。
色鉛筆を使ったりサインペンを使ったり、道具によって線の持つ表情は全然違います。
布が出来上がるまでには、柄を決めたり素材や色等、たくさんの選択を重ねていきますが、まず最初に選ぶことは何で描くか、という事だったりします。

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顔料プリント用のインクを作っています。
色を決めるのは悩ましい反面、とても楽しくもあります。
色を決めることも大 変ですが、イメージ通りの色糊やインクを作る事もとても難しいです。
どの色の染料や顔料をどのくらいの濃度にするか。
試作を重ねて近づけていきます。

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刷っています。
均一の力加減でムラなくするのは私にはまだまだ難しいです。
がしかし、無地の布にピタっと柄が入っていく様は最高に気持ちがいいです。
その後、熱をくわえる等、定着作業を経て洗い乾燥させます。

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またこちらのブログ記事でも布の制作について、あれやこれや書いていますので(若干内容重複してますが)
よろしければお読みください。

布をつくる http://blogmomoko.jugem.jp/?eid=129
布をつくる2 http://blogmomoko.jugem.jp/?eid=131